技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件 行政書士葛飾江戸川総合法務事務所

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技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件 行政書士葛飾江戸川総合法務事務所

2024/10/03

2024年10月10日最終更新

技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件

お世話になっております。
行政書士葛飾江戸川総合法務事務所の糠信 一善(ぬかのぶ かずよし)です。
本日は、
技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件
について紹介いたします。

確か、技術・人文知識・国際業務って日本国内でも多い在留資格(ビザ)なんだろ…?
取得条件はかなり大事なんじゃないかね…?

そうだね。
おばあちゃんの言う通りだね。
技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)で日本に滞在する外国人は多いよ。
そして結構日本語も上手だったりする場合が多いの。
皆、本当に在留資格(ビザ)取得のために日本語を勉強してきたんだなぁ…、と尊敬しちゃうよ。

本当ですね。
日本語の上手な外国人の方はすごいですよね。
わたくしは外国で外国語を使って就職することなんて到底できません。

お気持ちはごもっともです。
わたくしも同じ考えです。

では…、早速内容を見ていきましょう。
今回は入管(出入国在留管理庁)が公開している、
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(令和6年2月版)

の資料を用いていきます。

本当だ。
技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について、ね…。
こういう資料が公開されているんだね。
まずはどこを見ようか…?

そうですね…。
まず緑色の枠を見ていきましょう。
技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件に関する具体的なことは記載されていませんが、技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)がどういう在留資格(ビザ)なのかの概要が記載されており、全体的な理解が深まりますので一読する価値はあります。

が…、他の在留資格(ビザ)の用語も出てきたり、入管法別表第一、とかいう馴染みのない用語も出てきますので、技術・人文知識・国際業務の在留資格の取得条件のみを確認したいのであれば…、読み飛ばすのもアリだと思います。

読み飛ばしてもいいけど、全体的な理解が深まる…ですね。
わかりました。
一読してみます。

1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動は、入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄において、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項から興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)」と規定されています。

……。
確かに全体的なことが書かれているのでしょうが、読みにくいですね…。

(1)本邦の公私の機関との契約に基づくものであること

まぁ…、そうですね…。
読みやすくはない…、ですね…。

では、水色の枠の中を見ていきましょう。
こちらは技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の取得条件に大きく関わってきます。
(1)本邦の公私の機関との契約に基づくものであること
と記載されています。

(本邦の…、公私の…、機関…?)
何ですか、この言葉は…?
これもとても分かりにくいんですけど…。

そうですね…。
分かりづらいですね…。
これも普段の生活に馴染みのない言葉であり、表現だと思います。
本邦の、とは『日本』のことです。
公私の、とは『公共のものも公共のものでないもの』のことです。
機関、とは会社、国、地方公共団体、独立行政法人など多くのものを含みます

つまり…、本邦の公私の機関とは…、
会社、国、地方公共団体、独立行政法人、公益法人等の法人のほか、任意団体(ただし、契約当事者としての権利能力はありません。)も含みます。
また、本邦に事務所、事務所等を有する外国の国、地方公共団体(地方政府を含む。)、外国の法人等も含まれ、さらに個人であっても、本邦で事務所、事業所等を有する場合は含まれます

なるほど…。
それが本邦の公私の機関の定義なんだね。

そして、その本邦の公私の機関との「契約」に基づくものであること、に出てくる、契約についても記載があるね。
なになに…。

「契約」には、雇用のほか、委任、委託、嘱託等が含まれますが、特定の機関との継続的なものでなければなりません。
また、契約に基づく活動は、本邦において適法に行われるものであること、在留活動が継続して行われることが見込まれることが必要です。


か…。

そうなんです。
「契約」とは、継続的に行われるもの
「契約に基づく活動」とは、本邦において適法に行われるもの、在留活動が継続して行われるもの

であることが必要です。

(2)「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」又は「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事する活動であること

では、さらに話を進めましょう。
(2)「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」又は「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事する活動であること
に注目していきます。
アとイとウ、順番に見ていきましょう。

そうだね…。
文字が多いから…、一つずつ確認していこう。

まずはアです。
自然科学の分野には、理学、工学のほか、農学、医学、歯学及び薬学が含まれます。
また、人文科学の分野には、法律学、経済学、社会学のほか、文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学、等が含まれます


あまり聞きなれない〇〇学もあると思いますが、技術・人文知識・国際業務はかなり広範な学問に認められている在留資格(ビザ)と言えます。

確かに聞きなれない〇〇学はあるけど、逆に言えば、具体的にきちんと定められている、とも言えるね。

仰る通りですね。
そしてその多くの学術に対し、

いずれの場合も、前提として、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動でなければなりません
一般的に、求人の際の採用基準に、「未経験可、すぐに慣れます。」と記載のあるような業務内容や、後述の上陸許可基準に規定される学歴又は実務経験に係る要件を満たしていない日本人従業員が一般的に従事している業務内容は、対象となりません

と記載されています。

つまり…、
大学や短大、専門学校で履修した科目の専門知識を利用する業務内容が対象となります。

次はイです。
外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務とは、単に外国人であるだけでなく、日本国内の文化の中では育てられないような思考又は感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を持って、その能力を要する業務に従事するものであることが必要です。

記載されています。

つまり…、翻訳、通訳、語学の指導、海外取引業務等が対象業務です。

なるほど…。
外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務とは…、日本国内の文化でない、外国語を用いた業務、ということなんですね。
日本語でない外国語の通訳、翻訳、語学の講師、海外取引業務等が対象なのですね。

では、ウについて説明いたしますね。

行おうとする活動が、「技術・人文知識・国際業務」に該当するものであるか否かは、在留期間の活動を全体として捉えて判断することになります。
したがって、例えば、「技術・人文知識・国際業務」に該当すると認められる活動は、活動全体として見ればごく一部であり、その余の部分は「技術・人文知識・国際業務」に該当するとは認められない、特段の技術又は知識を要しない業務や、反復訓練によって従事可能な業務を行う場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当しないと判断されます。

また、行おうとする活動に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務が含まれる場合であっても、それが入社当初に行われる研修の一環であって、今後「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行う上で必ず必要となるものであり、日本人についても入社当初は同様の研修に従事するといった場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当するものと取り扱っています。
実務研修に係る取扱いの詳細は別紙1の通りです。

と記載されています。

ウは説明が長いけど、重要なことが書かれてあるね。
「技術・人文知識・国際業務」に該当すると認められる活動は、活動全体として見ればごく一部であり、それ以外の期間を「技術・人文知識・国際業務」に該当しない活動を続けるのであれば、「技術・人文知識・国際業務」に該当しない
ということだね。

また、
・特段の技術又は知識を要しない業務
・反復訓練で従事可能な業務
は、「技術・人文知識・国際業務」に該当しない
ということも見逃せないポイントだね。

『研修』についても記載されていますね。

入社当初に行われる研修の一環であって、
・今後の「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行う上で必ず必要
・日本人についても入社当初は同様の研修に従事する

といった場合には、行おうとする活動に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務が含まれる場合であっても、「技術・人文知識・国際業務」に該当するものとして取り扱われる


ということですね。

(1)自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合

(1)自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合についてです。
とっても大切です。
次の2つの場合があります。
ア 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること
イ 10年以上の実務経験があること


上のアかイのどちらかに該当しなければ、技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の許可が出ることはありません

自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合ですね。
ア 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること
イ 10年以上の実務経験があること
のどちらかに該当しなければいけないのですね…。

そうなんです。
そして、
アの従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること
で技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の許可を得る場合がほとんどです。
イの10年以上の実務経験があること
で技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の許可を得る場合はほとんどありません。


従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していることが必要であり、そのためには、大学・専修学校において専攻した科目と従事しようとする業務が関連していることが必要になります。

従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していることが必要であり、そのためには、大学・専修学校において専攻した科目と従事しようとする業務が関連していることが必要…か。
確かにこれはとても大切なことだね。
技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)で雇用するにあたり、きちんと意識しないといけないね。

アの業務との関連性について

それでは、アの業務との関連性について詳しく説明していきますね。
申請外国人が修めた科目と実際に行う業務との関連性がなければ、入管の申請で許可が出ることはまずありません
絶対に関連性が必要になります。
まず、大学、高等専門学校、専修学校の3種類が主な卒業校の形式になります。

なぁ…、高等専門学校と専修学校って何だい…?
普段よく聞く『専門学校』は高等専門学校なのかい…?

おばあちゃん、普段よく聞く『専門学校』は高等専門学校ではないよ?
でも、そう思ってしまうのはよくわかる。
普段よく聞く『専門学校』は専修学校になるよ?

それで、高等専門学校は通称『高専』と呼ばれる学校なの。
日本だと、中学校を卒業して進学する選択肢の中に『高専』があるよ。

『高等専門学校(高専)』は、工業分野と商船分野の2分野で、現場で即戦力となるエンジニア(技術者)を養成する学校だよ。
文部科学省の資料を添付するね。
令和6年4月現在、日本全国で58校しかないという…、本当に専門の教育機関
だよ。

そうなんだね。
普段よく聞く『専門学校』は、専修学校で、『高専』が高等専門学校なんだね。
資料まで添付してくれてありがとうよ。
おかげでスッキリしたよ。

では、大切な確認を終えたところで、本題に戻しましょう。

大学(短期大学を含む)ですが、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、また、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するという大学の性格を踏まえ、大学における専攻科目と従事する業務の関連性については、従来より柔軟に判断されます。
海外の大学についてもこれに準じた判断がされます。

大学を卒業した場合は、日本の大学でも海外の大学でも専攻科目と従事する業務の関連性については、従来より柔軟に判断されるのですね。
大学を卒業した方は許可が出やすいのですね。

そうですね。
そして高等専門学校(高専)も、一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につける機関であるとされており、大学と同様に、従事しようとする業務の関連性については大学に準じた判断がされます。

さっき訊いた高等専門学校…、通称高専も従事しようとする業務の関連性については大学に準じた判断がされるんだね。
嬉しいねぇ。

専修学校についてです。
専修学校は、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的とされていることから、原則として専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性を必要とします。

そ、それは…、専修学校である専門学校は、大学や高等専門学校のように柔軟な判断がされないということでしょうか…?

そうですね。
専修学校である専門学校は技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)の許可を得る上で不利、と思ってしまいますよね。

ただし…、専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程第2条に定める文部科学大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者…、つまり、『認定専修学校専門課程修了者』については、企業等と連携して実習等の授業を行っていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知識を応用できると考えられることから、専門科目と従事しようとする業務の関連性について、柔軟に判断されることになっています。

知らない…、普段の生活に馴染みのない言葉が出てきたね。
『認定専修学校専門課程修了者』…?

そうですね…。
馴染みのない言葉ですね。

認定専修学校専門課程修了者は文部科学省のサイトに詳しく掲載されていますが、ここでの詳述は本題から離れてしまうので避けさせていただきます。
別のところで説明いたします。

専修学校の説明を続けさせていただきますね。

専修学校の専門課程を修了した者が、従事しようとする業務に相当程度関連する科目を直接「専攻」したとは認められない場合でも、履修内容全体を見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては、総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか、関連性が認められた業務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性については、柔軟に判断されます。

え~と…。
専修学校、つまり専門学校を卒業した留学生は、大学卒業の留学生と比べて不利なところはあるものの、色々細かく考慮されていることがあったのですね。
知らなかったです…。

そうなんです。
さらに、専修学校の専門課程を修了した者については、修了していることのほか
①本邦において専修学校の専門課程の教育を受け、「専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程」(平成6年文部省告示第84号)第2条の規定により専門士と称することができること、又は
②同規程第3条の規定により高度専門士と称することができることが必要です。

う~ん…。
専修学校である専門学校を卒業した留学生は、専門課程を修了していることのほか、専門士や高度専門士を称することができないといけないんだね…。
色々難しいねぇ…。

これには例外があります。

教育機関(ファッションデザイン教育機関)の特定の専攻科・コースを卒業した者が、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)へ変更する場合には、
「本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)」
に係る上陸許可基準に適合していることを要しません

これらは下の資料に掲載されています。

いやいや…。
掲載されてるって言われてもこんな文字だらけの資料、読む気になれないよ…。

まぁ…、おばあちゃんの気持ちもわかるよ…。
普通はこんな専門用語だらけの資料なんて読みたくもないよね…。
でも、もう少しつきあってね。

イの10年以上の実務経験があることについてだよ。
実務経験の期間には、大学等において関連科目を専攻した期間も含まれるよ。
また、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に10年従事したことまでを求めるのではなく、関連する業務に従事した期間も実務経験に含まれるんだ。

でも…、実務経験10年での「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)の取得は…。

う~ん…。
大学等で専攻した科目も含まれるとのことだけど、そもそも中退(途中で退学)するよりは卒業していることがほとんどだよね?
そうなると…、実務経験だけで10年、というパターンの方が多そうだけど…、それも難しいんじゃないかな…?
日本もそうだけど、海外も大きな企業でないときちんと在職証明書とかを発行してくれるとは考えにくいな…。
既に倒産していたら、証明のしようもないし、現実的な申請にはならなそうだよね…?

おっしゃる通りです…。
鋭い、現実的な考察ですね…。

そうなんです。
証明の困難さから、「技術・人文知識・国際業務」は実務経験組の例はほとんどなく、学校卒業組が申請の大部分を占めると思います。

それと、このブログはここまでで一度終了いたします。
長くなりすぎてしまいました…。
続きは別のブログで紹介いたします。

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