外国人の「技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格)」の実務研修について 行政書士葛飾江戸川総合法務事務所

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外国人の「技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格)」の実務研修について 行政書士葛飾江戸川総合法務事務所

2022/10/24

外国人の「技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格)」の実務研修について

お世話になっております。
行政書士葛飾江戸川総合法務事務所の糠信(ぬかのぶ)です。
本日は外国人の「技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格)」の実務研修について紹介いたします。
主に受入れ機関(企業側)が注意しないといけない内容なので、読み仮名なしでいきます。

そうですね…。
採用したばかりの社員に研修を行っている企業は多いと思います。
外国人に対して行わない、ということはないでしょうから、大切なところですね。

まず、外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)で在留するためには、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務に従事することが必要です。

学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務に従事することが必要…、単純労働はできない、ということですし…、大学等で学んだ知識や技術を活かす仕事でないといけないんですよね?

そのとおりです。
もちろん企業側としては、
「研修しないと理解できない業務知識や練習しないとできない技術があるんだけど…」
と思いますでしょうし、
「飲食店だから接客や小売店の店頭における販売業務を研修に取り入れたい」
「工場だからライン業務を研修に取り入れたい」

というお声はあると思います。

そうですよ…。
いくら専門知識や専門技術を用いるビザ(在留資格)であっても、
飲食店なら接客、小売店なら店頭における販売業務を研修に取り入れることで、お客さまの表情や気持ちを直接感じることができます。
そして、そのお客さまの表情や気持ち、ニーズをキャッチできる商品を開発することは、企業の発展や、大きく捉えれば、日本経済に貢献することになります

素晴らしいですね。
そして、工場ならライン業務に研修として学ばせることで、就職予定会社の製品がどのような流れで商品化されていくのかがわかります
その流れを把握しておくことは、外国人の方が研修後の仕事の中で専門知識や専門技術をより活かす可能性が高くなるでしょう。
『より安全で、より効率的なライン業務を実現する』きっかけを作ることになるでしょうし、外国人が優秀な人材に育てば育つほどその企業が発展し、やはり日本経済に貢献していくことに繋がると思います。

となると…、実務研修は当然社員全員が行うような実務研修じゃないといけないですよね…?

在留期間のほとんどか研修…、というのも、もちろんマズいですよね…?

そうなんです。
日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修であることが必要です。

そして、
在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは、その相当性を判断した上で当該活動を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格内で認めています

「在留期間中」の考え方

次は、「在留期間中」の考え方について説明していきます。
この研修期間を含めた在留資格該当性の判断は、「在留期間中の活動を全体として捉えて判断する」ところ、ここでいう「在留期間中」とは、一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものではありません。

え…?

研修期間を含めた在留資格該当性の判断は、「在留期間中の活動を全体として捉えて判断する」のに…、「在留期間中」とは、一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものではありません…?

どういうことですか…?

そうですね…。
わかりづらいですよね…。

「在留期間中」とは、1年、3年、5年といった一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものではありません。
雇用契約書や研修計画に係る企業側の説明資料等の記載から、申請人が今後本邦で活動することが想定される「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持って在留する期間全体を意味します

え…?
そうなんですか…?

となると…、例えば…、
今後相当期間日本で「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に従事することが予定されている方(雇用期間の定めなく常勤の職員として雇用された方など)が、在留期間「1年」を決定された場合、決定された1年間全てを実務研修に従事する
ということもありうるのでしょうか…?

そのとおりです!
なお、採用から1年間を超えて実務研修に従事するような申請については、『研修計画』の提出を求められ、実務研修期間の合理性を審査されることになります。

他方で、雇用契約期間が3年間のみで、契約更新も予定されていないような場合、採用から2年間実務研修を行う、といったような申請は認められないこととなります。

研修計画等

先ほど、『研修計画』ってありましたが、どんなものなのでしょうか…?
研修を設けている企業は申請時に『研修計画』を作成した方が良いのでしょうか…?

そうですね…。
研修期間として部分的に捉えれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない活動を行う必要がある場合、必要に応じ、受入れ機関に対し日本人社員を含めた入社後のキャリアステップ及び各段階における具体的職務内容を示す資料の提出を求められることがあります。

研修を設ける場合は、理由書にその旨を盛り込み、別途『研修計画』を作成するのが良いでしょう。
追加資料で求められると、書類の往復日数も含めて審査が遅延します。
事前に提出するのが良策だと思いますし、審査員も安心して審査できると思います。

この研修は大卒社員等の日本人も行われる必要があることから、その旨も研修計画に盛り込んでいった方が良さそうですね?


仰る通りです。
当該実務研修に従事することについての相当性を判断するにあたっては、当該実務研修が外国人社員だけに設定されている場合や、日本人社員との差異が設けられているようなものは、合理的な理由(日本語研修を目的としたようなもの等)がある場合を除き、当該実務研修に従事することについての相当性があるとは認められません

合理的な理由のある研修が実施されている事実が必要です。
 

そういえば…、研修は新入社員に行うことが多いですが、基礎的な業務ができるようになって新たな工程を行う場合や中堅社員にも研修って行われることってありますよね…?
そういう、中途で行われる研修も認められるのでしょうか…?

鋭い指摘ですね。
そうなんです。
採用当初に行われる実務研修の他、キャリアステップの一環として契約期間の途中で実施されるような実務研修についても、同様に取り扱われます

実務研修期間が設けられている場合、原則として在留期間「1年」

これら実務研修期間が設けられている場合、実務研修を修了した後、「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に移行していることを確認する必要があるため、在留資格決定時等には、原則として在留期間「1年」を決定することとなります。

そうなんですね…。
実務研修期間が終わっていることを確認するために、原則在留期間は「1年」なんですね。
「3年」や「5年」はなく、まずは1年で更新手続きを行うことになるのですね。

そうなんです。
なお、もし…、在留期間更新時に当初の予定を超えて実務研修に従事する場合、その事情を説明することになります。
そして、合理的な理由がない場合、在留期間の更新が認められない
こととなります。

研修を設けている企業は多いと思う、と冒頭で言いましたが、その研修内容を申請時にきちんと説明し、きちんと外国人の研修を終えていることがとても大切であることが分かりました。

最後にこのブログを作成するにあたって、
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化について
平成20年3月 出入国在留管理庁(最終改定令和3年3月)

のp5,6を参考にいたしました。

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