遺留分とは何か 行政書士葛飾江戸川総合法務事務所

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相続手続きや遺言書に関係する遺留分って何? 葛飾区担当の行政書士より

2020/07/14

2023年10月25日最終更新

相続手続きや遺言書に関係する遺留分

お世話になっております。
行政書士葛飾江戸川総合法務事務所のアテンドキャラクターの細谷叶恵です。
本日は、
遺留分(いりゅうぶん)とは何か
について説明していきます。

遺留分…?
よくわからない言葉が出てきたね…。
おばあちゃんにはよくわからないから少しずつ説明しておくれよ。

うん、おばあちゃんにもわかるように少しずつ説明していくね。
まず、遺留分の制度はあまり聞きなれない言葉だけど、相続手続きや遺言書作成においては必ず考慮しなくてはならないものなんだ。

 

必ず考慮しなければならない…、ということは、遺留分の制度は相続や遺言書にとってとても大切なことなんだね。

そうなの。
とっても大切。

遺留分制度とは、被相続人の財産の一定割合について、一定範囲の被相続人の兄弟姉妹以外の相続人の相続権を保障する制度なの。
わかりやすく言うと、相続で財産を分割する際、民法には相続人に最低限の取り分…、つまり『もらえる財産』を認めているの。
その最低限のもらえる財産のことを遺留分
というんだ。

なるほど。
被相続人の兄弟姉妹以外のどの相続人も相続財産を全くもらえない、ということにはならず、少しは相続財産をもらえるようになっている…、ということだね。
そのもらえる相続財産のことを遺留分というんだね。
ここまではわかったよ。

でも…、遺留分で保障されるのは被相続人の兄弟姉妹以外の相続人というのはどういうことなんだい?
被相続人の兄弟姉妹には遺留分はないのかい?

そうだよ。
おばあちゃんの言う通りだよ。
民法で被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていないの。
だから相続人が被相続人の兄弟姉妹だった場合は気を付けないとね。

とはいっても実際は…、被相続人の兄弟姉妹の相続順位は第3位で、第1位の被相続人の子、第2位の被相続人の直系尊属が相続人にいない場合のみ法定相続人として第3位の被相続人の兄弟姉妹が選定されるから、可能性としてはとても低いと思う。

​​​​​​​保証された相続権が侵害されると…

ところで、保証された相続権が侵害されると、どうなるんだい…?
侵害されて何もない、ということはないんだろう…?

侵害された場合、だよね。
そこも大切なポイントだね。

一定割合について相続権が保証されているわけだけど、被相続人がこの割合を超えて特定の相続人に生前贈与や遺贈をした場合には、これらの相続人は、遺留分侵害請求によってその相続人に対して侵害された部分に相当する金銭額を取り戻すことができるよ。


遺留分侵害請求権の詳細を確認されたい方は、下の黄色いボタンをクリック又はタップして確認してみてください。

遺留分権利者とは

次は遺留分権利者についてだよ。
遺留分権利者とは、遺留分を持っている相続人のことをいうよ。
「遺留分のことは少しわかったけど、じゃあいったい誰がその遺留分を持っている人なの…?」
て疑問が湧いてくるよね。
で、その遺留分権利者は以下の通りだからよく確認してね。

1 配偶者
2 子
3 直系尊属

1 配偶者
2 子
3 直系尊属

なるほど。
さっき説明してもらったけど、法定相続人に登場した被相続人の兄弟姉妹がいないね…。
被相続人の兄弟姉妹は遺留分権利者じゃないからなんだね。

その通り。
さっきも言ったけど、被相続人の兄弟姉妹は法定相続人だけど、
法定相続分はあっても被相続人の兄弟姉妹には遺留分はないの(民法第1042条第1項)。
ここは要注意だよ。
だから、被相続人の兄弟姉妹は法定相続分が認められているけど、相続財産が0円で遺言書に書かれていた場合、遺留分侵害請求権はできない、ということになるよ。

余談だけど、この兄弟姉妹に遺留分がないことは法律(行政書士試験だけでなく、ビジネス実務法務検定でも)の試験でも出題される箇所になるんだ。


民法ではこう記載されているよ。

(遺留分の帰属及びその割合)第1042条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、(中略)遺留分を算定するための財産の価額に、(中略)当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

ひょっひょっ(笑)。
じゃあ、あたしは運よく行政書士試験やビジネス法務検定で、
「この遺留分は誰がもっているか?」
みたいな問題が出たら正解するかもしれないね(笑)。

遺留分の割合と計算方法

遺留分の割合について説明するね。
遺留分はこのあたりから分数や計算が出始めてきて、
「遺留分って難しい…」
て言われるんだ。

う…。
分数や計算…。
おばあちゃんは計算が苦手だから、嫌だねぇ…。

できるだけわかりやすく説明していくね。
まず、前提として、遺留分は相続財産全体に対する割合として定められているよ。

ん…。
まず前提として、遺留分は相続財産全体に対しての割合なんだね。
それで…?

それで…、ここからが大切なの。
全部で6つのパターン分けがあるよ。

相続人が、

 

・常に相続人の配偶者のみ

・第1順位の子のみ

・常に相続人の配偶者と第1順位の子

・常に相続人の配偶者と第2順位の直系尊属

・常に相続人の配偶者と第3順位の被相続人の兄弟姉妹
 

の5つの場合には、遺留分は相続財産全体の2分の1となっているよ。
仮に相続財産全体が1,200万円ならば、遺留分は600万円、ということになるね。
実際の相続において、この割合になる場合がほとんどなんだ。

注意しないといけないのは、常に相続人の配偶者と第3順位の兄弟姉妹。
先ほども伝えたけど、被相続人の兄弟姉妹に遺留分はないから、常に相続人の配偶者のみの場合と同じで、配偶者のみに遺留分が配分されるよ。

なるほど…。
まず、相続人が、

・常に相続人の配偶者のみ
・第1順位の子のみ
・常に相続人の配偶者と第1順位の子
・常に相続人の配偶者と第2順位の直系尊属
・常に相続人の配偶者と第3順位の被相続人の兄弟姉妹

この時の遺留分は2分の1になるんだね。

確かに…。
相続財産全体が1,200万円なら遺留分はその2分の1だから、遺留分は600万円になるよね。
計算もそうなるね。

ここまでは大丈夫だよ。

相続において、遺留分のほとんどが2分の1の割合になるなら、
「相続においての遺留分はほとんどの場合2分の1なんだな。」
と覚えておこう。

そして、注意点として、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はないということは再確認しておかないとね。

そうだね。
遺留分はほとんどの場合は2分の1、と覚えておいていいかもしれないね。


そして、6つ目の場合だけど、相続人が、

・第2順位の直系尊属のみ

の場合には、遺留分は相続財産全体の3分の1となっているよ。
だから、相続財産全体が1,200万円ならば、遺留分は400万円、ということになるね。

民法では遺留分の割合は以下のようになっているよ。
(遺留分の帰属及びその割合)第1042条

第1項 (中略)

 第1号 直系尊属のみが相続である場合 3分の1

 第2号 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1

なるほど。
きちんと民法にも遺留分の割合は載っているんだね。

じゃあ、最後に配偶者と子が3人いた場合の各人の遺留分がいくらなのかの計算を練習してみようかね。

そうだね。
全体の遺留分の金額はわかったけど、実際各人がいくらになるのかまできちんと計算できないと、実用的じゃないよね。
じゃあ、さっきの相続財産の1,200万円を使っていこう。

まず、設定を再確認。
相続財産 1,200万円
相続人 配偶者A 子B 子C 子D

という設定で各人の遺留分を計算するよ。

まず全体の遺留分だけど、全相続財産の2分の1だから、600万円だね。
そこからどうするんだい…?

そうだね。
相続財産全体に対する遺留分は600万円とわかったから、次は、各人の遺留分だね。

まずは配偶者Aの遺留分を求めてみよう。
配偶者Aの遺留分の額は、
相続財産全体に対する遺留分600万円 × 法定相続分の1/2 = 300万円
となるよ。

うん。
全体の遺留分の金額600万円に法定相続分の1/2をかけるから、配偶者Aの遺留分の金額は300万円…。
ここまでは大丈夫だよ。

次に、子BCD各人の遺留分の金額だね。
相続財産全体に対する遺留分600万円 × 法定相続分の1/2 × BCD3人いるので1/3 = 100万円
と、子BCD各人の遺留分は100万円になる
よ。

子の場合、全体の遺留分600万円に法定相続分の1/2をかけるところまでは配偶者Aと同じだけど、子は3人いるから、300万円を3人で分けないといけないんだね。
だから1人ずつの遺留分は100万円なんだね。

よし。
これで、相続人全員の各人の遺留分が計算できたね。
今回の例では各人の遺留分は、
配偶者A 300万円
子B   100万円
子C   100万円
子D   100万円

となるってことだね。

まとめ

 

今回は遺留分についてと計算方法までを紹介いたしました。

この遺留分は冒頭でも申し上げたように、相続や遺言書作成においては必ず考慮しなくてはいけない事項です。

この遺留分を侵害した相続財産の配分がなされると、相続トラブルに繋がる恐れが高くなります。

相続トラブルに発展してしまうと本当に大変です…。

「時間と手間と費用と心労」全てを背負わなくてはなりません…。

 

このようなトラブルを事前に防ぐため、遺留分を考慮した相続財産の配分が大切になります。

 

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