相続手続きや遺言書に関係する遺留分侵害額請求権て何? 葛飾区担当の行政書士より

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相続手続きや遺言書に関係する遺留分侵害額請求権て何? 葛飾区担当の行政書士より

2020/07/21

2023.10.22最終更新

相続手続きや遺言書に関係する遺留分侵害に対する請求権

お世話になっております。
行政書士葛飾江戸川総合法務事務所のアテンドキャラクターの細谷叶恵です。
本日は、
相続手続きや遺言書に関係する遺留分侵害に対する請求権
について紹介していきたいと思います。

遺留分侵害請求権…?
ひょっひょっ…(笑)。
遺留分減殺請求権の言い間違いではないのかい…?

言い間違いじゃないよ…。
失礼な…!

遺留分減殺請求権は平成30年1月の民法大改正でなくなり、新たに遺留分侵害請求権が新設されたんだよ。

そ、そんな…。
いつの間にか民法大改正…。
知らなかった…。

じゃあ…、遺留分侵害請求権てのはどんな内容なんだい?

そうだよね。
内容確認が大切だよね。

遺留分侵害額請求権とは、

遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる権利

のことをいうよ。

実際、民法には、

(遺留分侵害額の請求)第1046条第1項
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

となっているよ。

ほ、本当だ…。
きちんと民法第1046条に載っている…。
ということは本当なんだね。

遺留分侵害請求権の期限

その遺留分侵害請求権だけど…、請求に期限はないのかい…?
いつまでも請求できるってわけじゃないでしょ…?

うん、その通りだよ。
遺留分侵害額請求権は特に短期の権利行使期間が定められ、遺留分権利者が像族の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅するよ。

また、相続開始の時から10年を経過したときも、同様に消滅するよ。

民法では…、

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)第1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

と記載されているよ。

遺留分権利者が像族の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する…。
また、相続開始の時から10年を経過したときも、同様に消滅する…ね。

まぁ、無期限ではないとは思っていたけど、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間とは…、結構早いんだね。

対象となる贈与や遺贈

遺留分侵害請求権の対象となる贈与や遺贈について説明していくね。
遺留分侵害となる贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、その価額を算入するよ。

民法では、
第1044条 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。

となっているよ。

なるほど…。
遺留分侵害請求権の対象となる贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、その価額を算入するんだね。

第1044条第1項には続きがあるね…。
なになに…。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。』
だって…。

そうなの。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、その価額を算入するんだよ。

ただ…、実務的には、民事裁判では『証明責任は請求をする方(権利を主張する方)が負う』から、録音やメールやLINEのメッセージ等を証拠として残しておかないと、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた…、とは立証するのは難しそうだね…。

そうか…。
条文で認められていても、実際に『当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした』を証明して民事裁判で主張するには、何も準備なく…という訳にはいかないんだね…。

そうだね…。
裁判なんてあまり望ましい解決方法ではないのかもしれないけど、それでも、裁判でないと解決しない問題もあると思うけど…、準備しないといけないことや備えないといけないことがたくさんあるよね。

そうだよねぇ…。

他には遺留分減殺請求の対象となる贈与や遺贈について内容を確認しておくことはないかな…?

民法第1044条第3項の、相続人に対する贈与については、10年となる…、かな。

民法の原文は、
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。
となっているよ。

なに…?
この第3項の内容もすごいね…。
相続人に対する贈与については10年まで遺留分侵害の対象であると考慮されてしまう、ということだよね…?

それって…、特定の相続人に、
相続手続きが始まってしまう前に事前に多めに渡して、相続手続きの時には『残り』を相続人同士で分けさせるようにしよう。
なんてことができない…、ということじゃないか…。

おばあちゃんの言い方だと、『特別受益の持ち戻し』の意味になっちゃうね…。
確かにおばあちゃんの今言った通りだよ。

『特別受益の持ち戻し』によって、
「相続手続きが始まってしまう前に事前に多めに渡して、相続手続きの時には『残り』を相続人同士で分けさせるようにしよう。」
ということはできない
ね…。
遺産分割では特別受益の分を相続財産に加えて具体的な相続分を算定するからね。
特別受益(民法第903条)についても話すと、話が広がってしまうから別の機会に説明するね。

今は遺留分減殺請求について。
おばあちゃんの言っていることを正確にすると、この民法第1044条第3項があることで、特定の相続人に事前に贈与しても結局は遺留分侵害の金額に計算されてしまうんだ。
きちんと理解するには遺留分を一度確認しないといけないね。

そうだね…。
何事も確認が大切だよね…。
後で遺留分のブログも見ておくよ。

遺留分侵害請求権と遺留分減殺請求権の違い

最後に、『新しい』遺留分侵害請求権と『以前の』遺留分減殺請求権の違いについて紹介するね。

まず、『以前の』遺留分減殺請求権では、現物での返還しか求めることができなかったの。

それじゃ、『以前の』遺留分減殺請求権の対象となるものが不動産だったら、かなり困ってしまうね…。
だって、現物での返還しかできないんだろ…?

だったら、不動産は相続財産の中でも大きな割合を占める場合が多いだろうから、不便というか…、解決できなくて揉め事になる原因になっていたんじゃないのかい…?

おそらくは…。

おばあちゃんの言う通り…、そう…、遺留分権利者は、相手方に対し、その一部持ち分の返還しか求めることしかできず、金銭で支払うよう請求することができなかったの。

現物で返還するのか…、金銭で弁償するのか…(価額弁償の抗弁)、の選択は相手方しかできなかったの。
とっても不便だよね…。

でも、これからの遺留分侵害請求権とやらは、金銭による支払いを請求できるようになったんだろ?

そうなの。
『新しい』遺留分侵害請求権では、金銭で支払いを請求することができるようなり、スムーズに解決することができるようになったんだ。

 

最後にもう一度繰り返すけど、
遺留分減殺請求権の時は「贈与又は遺贈を取り消す」でしたが、
遺留分侵害額請求権では、「侵害額に相当する金銭を請求できる」という、
使いやすい制度
となりました。

この平成30年1月の民法大改正で、民法は遺留分侵害請求権以外も内容が結構変わっているところや削除された条文も多く、きちんと再確認しないと、だね。

今後も時代に流れに合った法律の改正がなされていくといいね~。
使いやすかったり、時代に合っていないと…、皆困っちゃうからね。

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